コールセンター黙示録・絶望編
サーカイです。
コールセンター。狂気が支配する世界。高時給であり、高度なスキルが求められる。
今日はコールセンターについて知るところを述べてみたい。
僕は縁あって今年の3月からコールセンターでアルバイトを始め、今に至るまで続けている。
1、コールセンターとの出会い
3月。大学の後期試験が終わるや否やバイトを探し始めた。浪人という十字架を背負った自分は、1日も無駄にできなかった。そこで見つけたのがfu〇〇castという派遣サイト。申し込んだ次の日から入れるという手続きの速さに魅力を感じ、登録した。
記念すべき第一回目のバイト、それは延々と奥から流れてくるサンドイッチに、チーズを乗せ続ける作業。いわゆるレーン作業である。そこには大量のベトナム人や、いわゆる社会から逸脱した人々が集っていた。誤解を恐れずに言えば、レーン作業の工場は、社会の最下層である。人間が獲得した類まれなる脳を捨て、ただ同じ神経反射を繰り返す。そこには資格も、経歴も必要ない。
そこで目の当たりにしたのは、大量の廃棄。1トンレベルで新鮮なイチゴが捨てられていた。余ったという理由だけで。日本社会は、歪んだ消費経済に支えられている。コンビニを利用しながら、論者は環境問題対策を唱えている。この点については後日検討したい。
一日の作業を終え、送迎バスに乗り込む。疲労で朦朧とした意識の中、夕闇に呑まれる街を目に映しながら、考える。体は疲れている。だが最も苦しいのは、脳だ。駿台で受けた高等教育が涙を流している。もっと対応力、個人の器量が試される世界に行きたい。そう決心した。闇を覗くのは一度だけでいい。
そして出会った。〇ul〇〇as〇唯一の事務職・コールセンターカテゴリに存在する、某コールセンターに。
2.闘いの幕開け。
初日。自分を覗き合計7名の男女が研修を受けた。ようはマニュアルに沿って商品を受注する。それだけだ。そう思っていた。
マニュアルを読み進めると、途中で妙なパートが挿入されていた。
アップセル・切り返しトーク集
アップセール。客はもともと1個買うつもりで電話をかけてきている。それを3個セット、さらには定期コースの契約に持ち込みなさい。それが我々初心者七名に告げられた宣告だった。
研修は初回手続き込みで6時間ほどかけて行われる。途中休憩時間があった。僕以外の初心者はテーブル席で歓談。僕は窓際で憲法入門を読む。陰オーラを発揮。
マニュアルどうりにスクリプトを読む。お客役とオペレーター役に分かれてロールプレイングをする。緊張でガチガチであった。そして、受電。
顧客の情報を聞くところまではスムーズに行く。想定通り。しかし突然、予期せぬ質問をぶつけてくるのだ。
「詳しい成分を教えてくれる?」
「保証できんの?」
マニュアルですぐサーチできない、質問。即答できなければ客との信頼関係は壊れ、後述するアップセルは100%成功しなくなるのだ。
硬直。瞬時に監視していたSV(superviser)が駆け付け、知識を耳元で補助し、乗り切る。
そしてアップセル。
僕「お得なコースいかがでしょうか?」
客A「高い。いらん。」
僕「・・・・・ウス。」
僕「いかがでしょうか?」
客B「いやテレビで一個やったやん。」
僕「(切り返しのチャンスだ!)ただいまお電話でお買い上げの方限定でですね・・・」
客B「1個でええゆうとるやろおおおがあああああ!!!!!ええ加減にせえよぼけえええええ!!!!っすぞおらああああああああああ!!!!!」
僕「・・・・(恐れおののく)」
僕「どうですか?」
客C「死ぃぃ・・・ね。(ねっとりと)」
ブツ、ツー、ツー
こうして、病んでいく。マニュアル通りの言葉といえども、自分の提案が連続で無下に蹴り飛ばされ続けるのは、精神に負担を与える。逃げたい。だが、電話は止まらない。
そしてアップセルが連続で失敗すると、SVの席に呼び出され、指導を受ける。
SV「サーカイ君さあ。やる気ある?切り返してないじゃん。季節トークができていない!お客様の事もっと考えて?」
僕「でもお客さん怒ってまして(ボソ)」
SV「(目を見開きながら)怒ってたらやめるの?それだれが決めた?勝手に決めた?」
僕「(目の見開き具合に恐れおののく)」
次の日、僕以外の新人は消えていた。マジで消えた。そこに漂う危険な香りを察知し、いちはやく脱出したのだろう。そして1か月間、研修を受けてはすぐ逃亡する新人たちを何度も目撃した。それだけ、心に負担を与える業務内容なのだ。
今、別のコールセンターにいてわかることがある。はっきり言って、ここまで地獄のスパルタセンターは、今どき他にないだろう。オペレーターを道具としか考えず、スキルアップなど微塵も考慮していない。まさに派遣のセンターである。(中には素晴らしいSVもいました。次の記事で書きます)
2日目、行くか行かないかがコールセンターで生きていけるかどうかの分水嶺である。自分に合わないと諦めて逃げ出すのか、それとも食いしばり技術を盗むのか。なぜ僕は約1か月もそこに出勤できたのだろうか?それはベテラン勢の存在であった。
センターの奥で、アップセル成功率80%を誇るベテラン勢が、チームAとして島を作っていた。彼らは優雅に、談笑しつつ案件を成功させていく。
僕はこう考えた。できている人間がいるのなら、できないわけがない。このセンターで学べることをすべて吸収しきってから、辞めてやる。
当時のシフトは8:00~21:00.脅威のフルタイムワークである。労働基準法に危うい中抜けシフトで、文字どうり僕は歯車だった。だが、歯車で終わらないという強い決意が、僕を最年少(自称)チームAのオペレーターへと急速に進化させることになる。
今回は負の面ばかり書きましたが、本当はメリットだらけの職場なんです。本当に!(笑)
一旦ここで区切ります。続きは次回。おやすみなさい。